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オリュンポス神族の系譜

クロノスとレアーから始まるオリュンポス神族の系図。
系図および解説等は、「参考文献」をもとにしている。参考文献は「ギリシア・ローマ神話伝説」にまとめた。


 

オリュンポス神族の系図

 

オリュンポス神族の系譜

※系付図中の青字は他の系譜へのリンク


図A
ゼウスと女神・女 生まれた子供
ゼウス = メーティス
  (一番目の妻)
アテーナー
ゼウス = テミス
  (二番目の妻)
ホーライ
モイラ
ゼウス = ヘーラー(正妻) ヘーパイストス
アレース
ヘーベー
エイレイテュイア(上図)
ゼウス = ディオーネー アプロディーテー(異説あり)
ホメーロスではゼウスとディオーネーの子とされる
ヘーシオドスでは、ウーラノスの精液が産みに滴りそこから生まれた
ゼウス = エウリュノメー カリスたち
ゼウス = ムネーモシュネー ムーサたち
ゼウス = レートー アポローン
アルテミス
ゼウス = デーメーテール ペルセポネー(上図)
ゼウス = カリストー アルカス
ゼウス = アイギーナ アイアコス
ゼウス = エーレクトラー ダルダノス
イーアシオーン
ハルモニアー
ゼウス = マイア ヘルメース
ゼウス = プルートー タンタロス
ゼウス = ターユゲテー ラケダイモーン
ゼウス = アンティオペー アムピ-オーン
ゼートス
ゼウス = ダナエー
(⇒ ペルセウスの系譜
ペルセウス
ゼウス = エウローペー
(⇒ テーバイ王家の系譜
ミーノース
ラダマンテュス
サルペードーン(ホメーロス以降の伝承)
ゼウス = ラーオダメイア
(⇒ シーシュポスの系譜
サルペードーン(『イーリアス』中の伝承)
ゼウス = イーオー
(⇒ テーバイ王家の系譜
エパポス
ゼウス = アルクメーネー
(⇒ ヘーラクレースの系譜
ヘーラクレース
ゼウス = レーダー ヘレネー
ポリュデウケース
カストール
ゼウス = ニオベー アルゴス
ペラスゴス
ゼウス = セメレー
(⇒ テーバイ王家の系譜
ディオニューソス
ゼウス = プロートゲネイア
(⇒ デウカリオーンの系譜
アエトリオス
オプース
ゼウス = イオダマー
(⇒ デウカリオーンの系譜
テーベー
ゼウス = エラレー
(⇒ ミニュアースの系譜
ティテュオス
太字はゼウスの子でオリュンポス十二神に含まれ得るもの。下記の概説を参照してください。
青字は他の系譜へのリンクです。

     

概説

 クロノスとレアーの子孫を、ティーターン神族とは別に、オリュンポス神族と呼ぶ。オリュンポス神族は、クロノスから支配権を奪い、ゼウスを代表としてギリシア・ローマの中心的な神々となった。

オリュンポス十二神
オリュンポス山に居住するとされる12柱の神々で、ギリシア・ローマ神話の中心をなす神々と位置付けられている。男女それぞれ6柱の神々で、ゼウスを主神とする。

 男神:ゼウス、アポローン、アレース、ヘーパイストス、ヘルメース、ポセイドーン
 女神:ヘーラー、アテーナー、アプロディーテー、アルテミス、デーメーテール、ヘスティアー

上記の12柱が代表的なものであるが、しばしば異説もある。例えば、ヘスティアーの代わりにディオニューソスを入れる。また、オリュンポス十二神と同等の神として、ハーデースとペルセポネーが扱われる。


 

名称・解説

この系譜で扱った神々や人物の名称、および簡単な解説を列挙。あいうえお順。
アルファベット表記は、ギリシア文字をローマ字に転写したもの。


名称 表記 性別 解説 参照
アイアコス Aiakos ゼウスとアイギーナの子。ギリシア英雄のなかでも、非常に敬虔な人。アイアコスの母アイギーナの名をとったアイギーナ島に住んでいた。この島の住民が疫病で全滅したときに、ゼウスは彼の敬虔さにこたえて蟻(ミュルメクス、myrmex)を人間に変えたので、その住民はミュルミドーン人と呼ばれた。彼はアポローンとポセイドーンがトロイアの城壁を築くのを手伝った。妻はエンデイス。また海のニンフ・プサマテーとの間にも子供をもうけた。死後は、ミノースとラダマンテュスとともに、冥府で亡者を裁いている。  
アイギーナ Aigina アーソポス河神の娘。ゼウスが彼女を奪いさてオイノーネー(Oinone)島に連れて行った。そのために、この島あアイギーナ島と呼ばれることとなった。失踪した娘を探して、父アーソポスはギリシアをさまよい、ゼウスと娘とを見つけたときに、ゼウスに雷で撃たれた。アイギーナーは息子アイアコスを生んだ。後にアイギーナはテッサリアに行き、あるトールの妻となってメノイティオス(パトロクロスの父)を生んだ。  
アエトリオス Aethlios ゼウスとプロートゲネイアの子。妻はカリュケー。 系譜:De
アテーネー Athene 別名;アテーナー(Athena)、もしくはアターナー(Athana)。元来はミュケーナイ時代のアクロポリスの守護女神。ゼウスとメーティス(思慮)の娘。うーらのストガイアが、メーティスから生まれる男子によってゼウスの王座が奪われると予言したために、ゼウスはアテーネーをのみ込んだ。胎児が成長したときに、ゼウスはヘーパイストスに斧で自分の額を割らせると、そこから完全武装したアテーネーが飛び出した。
 アテーネーの聖鳥はフクロウで、しばしば「フクロウの目のアテーネー」、「輝ける目のアテーネー」と呼ばれる。
 国家の守護神で、織物、陶器、鍛冶、医術、音楽など様々な技術の女神であり、また戦の女神として常に武装した姿で描かれる。
アプロディーテー Aphrodite オリュンポス十二神の一人。ギリシアの愛、美、豊穣の女神。ローマではウェヌスと同一視される。ホメーロスではゼウスとディオーネーの娘、ヘーシオドスではクロノスに切断されたウーラノスの精液が海に滴り、そこから生まれた(aphros「泡」)とされる。崇拝の中心はキュプロス島、キュテーラ島、コリントスなど。彼女は航海や戦争の女神としても崇拝される。ヘーパイストスと結婚したが、アレースとの姦通が有名。  
アポローン Apollon オリュンポス十二神の一人。音楽、医術、弓術、予言、家畜の神。またポイボス(Phoibos、「輝く神」)という呼称を持ち、時に太陽神と同一視される。ゼウスとレートーの子。アルテミスの双子の兄弟。デーロス島で生まれた。デルポイにおいて、彼は神託を下す。またこのデルポイでは、アポローンがピュートーンと呼ばれる大蛇をい射殺したことを記念して、ピューティア競技祭が開かれる。  
アムピーオーン Amphion ゼウスとアンティオペーの子。ゼートスと双子の兄弟。妻はニオベー。キタイローン山中のエレウテライ(Eleutherae)に生まれた。アムピーオーンはヘルメースから竪琴を授かりその名手となった。テーバイ市の城壁を作るとき彼の音色に合わせて石がおのずから動いたとされる。  
アムピトリーテー Amphitrite ネーレウスとドーリスの娘たちネーレーデスの一人。ポセイドーンの妻。海の女王。  
アルカス Arkas ゼウスとニンフ・カリストーの子。祖父のリュカオーンはゼウスを試すためにアルカスを殺し、食膳に供したが、神は見破って怒り、リュカオーンを狼(lykos「リュコス」)に変身させてアルカスを生き返らせた。母カリストーはアルテミスもしくはヘーラーの怒りをかって熊に変身させられる。アルカスが、母とは知らずに熊を追いかけて殺そうとしたときに、ゼウスは母親カリストーを熊座に、アルカスをアルクトゥーロス(Arkturos)の星に変身させた。  
アルクメーネー Alkmene エーレクトリュオーンの娘。夫はアムピトリュオーン。彼女に恋をしたゼウスは夫に変身して彼女と交わり、ヘーラクレースが生まれた。 系譜:Pe
アルゴス Argos ゼウスとニオベーの子。ペロポーネソスが与えられ、そのためにこの地がアルゴスと呼ばれた。妻はエウアドネー。孫も同じアルゴスという名前(もしくはアゲーノール)。全身に眼があり、雌牛に変えられたイーオーを見張っていた。  
アルテミス Artemis オリュンポス十二神の一人。ゼウスとレートーの娘。アポローンの双子の妹。狩人と弓術の女神であり、また出産と多産の守り神でもある。若い処女神として、ニンフたちに取り巻かれ、森の中で過ごす。ローマではディアーナと同一視される。  
アレース Ares オリュンポス十二神の一人。ギリシアの軍神。ゼウスとヘーラーの子。ローマでは軍神マールスと同一視される。アプロディーテーとの姦通が有名。 系譜:Ath
アンティオペー Antiope ニュクテウスの娘、あるいはアーソーポス河神の娘。サテュロスの姿で近づいてきたゼウスと交わった。  
イーアシオーン Iasion ゼウスとエーレクトラーの子。兄弟のダルダノスとともにサモトラーケー(Samothrake)島に住んでいた。デーメーテールの恋人で、二人の間に富の神プルートスが生まれた。後に彼はキュベレーの夫となる。  
イーオー Io アルゴスのヘーラーの女神官。彼女に恋をしたゼウスは、ヘーラーの怒りを恐れて、彼女を雌牛に変えた。彼女は世界中を彷徨って、ヨーロッパからアジアへ、さらにエジプトに着き、人間の姿に戻る。 系譜:Th
イオダマー Iodama イトーノスの娘。ボイオーティアの神官。ゼウスと交わってテーベーを生んだ。  
エイレイテュイア Eileithyia お産の女神。ゼウスとヘーラーの娘と言われる。ローマではユーノー・ルーキーナ(Iuno Lucina)と同一視される。  
エウリュノメー Eurynome オーケアノスとテーテュースの娘。ゼウスに愛されて、カリス女神たちおよびアーソーポス河神の母となった。ピガレイア(Phigaleia)のサイプレスの森に彼女の古い神殿があり、彼女の像は上半身女、下半身魚の形。  
エウローペー Europe テュロス王アゲーノールの娘。彼女に恋をしたゼウスは、白い雄牛に変身して彼女に近づき、牛に乗った彼女を連れ去った。海を渡った彼女はクレタ島に着く。「ヨーロッパ」の語源となる。 系譜:Th
エパポス Epaphos ゼウスとエウローペーの子。イーオーがエジプトで当時の王テーレゴノス(Telegonos)と結婚したために、エパポスは彼の後を継いで王となった。彼の妻は、カッシオペイアだとする伝えもある。 系譜:Th
エラレー Elare ゼウスと交わって、ティテュオスを生んだ。 系譜:Dei
エーレクトラー Elektra オーケアノスとテーテュースの娘。ダウマースの妻。 系譜:Po
オプース Opus ゼウスとプロートゲネイアの子。もしくはロクリスとプロートゲネイアの子とされる。ロクリスの地の住人オプース人に名前を与えた。  
カストール Kastor ゼウスが白鳥の姿に変身してレーダーと交わり生まれた子。レーダーがスパルタ王テュンダレオースの妻であったことから、彼の子としても扱われる。兄弟のポリュデウケースとともにディオスクーロイ(ゼウスの息子たち)と呼ばれる。カストールは戦争の術に秀でていた。ゼウスは両者をふたご座として天上に置いた。また、両者はスパルタで神として崇められている。  
カリストー Kllisto 一説にはアルカディアの王リュカーオーンの娘。アルカディアのニンフ。処女を守る誓いを立てて、アルテミスに仕えていたが、ゼウスが彼女に恋をして、アルカスが生まれた。アルテミス、あるいはヘーラーが怒って彼女を熊に変身させた。アルカスが母と知らずに雌熊を追いたててまさに殺そうとしたときに、ゼウスは母子を憐れんで、母を大熊座に、子をアルクトゥーロス星に変えた。  
クロノス Kronos ウーラノスとガイアの末子。クロノスは母ガイアから渡された黄金の斧で、父親ウーラノスの生殖器を切り落とし海に投げ入れ、支配権を奪った。姉妹のレアーを妻とした。ガイアとウーラノスが、クロノスは自分の子によって支配権を奪われると予言したので、クロノスは自分の子を飲み込んでいた。しかし、レアーによって助けられたゼウスが、成長して、ティーターン神族との10年間の戦いに勝利し、クロノスから支配権を得た。別の伝承では、クロノスは黄金時代の王であり、人類に様々な恩恵をもたらした。そのために、ローマではクロノスはサートゥルヌスと同一視されるにいたった。 系譜:Ti
サルペードーン Sarpedon 『イーリアス』ではゼウスとラーオダメイアの息子とされるが、ホメーロス以降はゼウスとエウローペーの子とみなされる。エウローペーを妻としたクレータ王アステリオスに育てられるが、成人してクレータを去りリュキア人と戦っていたキリクスに味方して、リュキアの王となった。一説にはミーレートス市の建設者でもある。『イーリアス』で描かれるサルペードーンはグラウコスとともにリュキア兵を率いてトロイアの援軍となった。ギリシアの英雄パトロクロスに打たれて死んだ。前者のサルペードーンと、後者で語られるサルペードーンは本来同一人物であったに違いないが、二つの出来事の年代が非常に離れているので、ゼウスから人間三代分の命を授けられたとする伝説が生まれた。 系譜:Th
系譜:Sis
ゼウス Zeus オリュンポス十二神のひとりであり、ギリシア最高の神。様々な気象学的現象(雨、嵐、雷等)をつかさどる神。クロノスとレアーの子。ローマではユピテルと同一視される。ガイアとウーラノスが、クロノスが息子によって王権を奪われると予言していたので、クロノスは生まれてきた子供たちを飲み込んだ。しかしゼウスだけは、母親レアーがこっそりとクレースたち、およびニンフのアドラステイアとイーデーにゼウスを育てさせた。成長したゼウスはメーティスが与えたの薬をクロノスに飲ませ、兄弟を吐き出させた。兄弟は10年の戦いの末にティーターン神族を破り、支配権を得る。その後、くじによってゼウスは空を、ポセイドーンは海を、ハーデースは冥府の支配権を得た。ゼウスは多くの女神や人間と交わって子供を得た。最初にメーティスと交わり、二番目ににテミスと交わった。さらにディオーネー、エウリュノメー、ムネーモシュネー、レートーと続く。特に初期に交わり、生まれた子は、ゼウスの権能を体現する者たちと考えられる。また、ギリシアの英雄や都市の祖、または名家の祖などを、ゼウスに帰するものにするために、ゼウスは様々なニンフや人間と交わったことになり、複雑な系譜が生じた。  
ゼートス Zethos ゼウスとアンティオペーの子。アムピーオーンと双子の兄弟。キタイローン山中のエレウテライ(Eleutherae)に生まれた。テーバイ王権を得た。妻はテーベー。この妻の名からテーバイが生じた。  
セメレー Semele カドモスとハルモニアーの娘。テュオーネーともいう。ゼウスに愛されてディオニューソスを孕んだ。なんでも願いを叶えると言うゼウスに、本来の姿を見せるようにと無理に願って、雷光を携えたゼウスを目の当たりにして焼け死んだ。ディオニューソスはその腹の中から取り出された。 系譜:Th
ダナエー Danae アルゴス王アクリシオスとエウリュディケーの娘。アクリシオスは神託によって娘の子供に殺されるとされたので、彼女を青銅の部屋に閉じ込めた。しかしゼウスが黄金の雨に変身して部屋に入り込み、彼女と交わった。ダナエーの子がペルセウス。  
ターユゲテー Taygete アトラースとプレーイオネーの娘。ゼウスとのあいだにラケダイモーンを生んだ。ラコーニアのターユゲテー山は彼女の名前に由来する。  
ダルダノス Dardanos ゼウスとエーレクトラーの子。サモトラケー島に住んでいたが、小アジアに移り、テウクロス王の娘バティエイア(Batieia)と結婚した。王の死後にこの地はダルダニア(Dardania)と呼ばれることとなった。トロイア市はダルダノスが建設した。生まれや伝承には諸説ある。  
タンタロス Tantalos ゼウスとプルートー(Pluto)の子。プリュギアあるいはリューディアのシピュロス(Sipylos)山付近の王。ディオーネー、あるいはステロペー、エウリュアナッサ、クリュティエーを妻とし、ペロプスなどの子を得た。息子ペロプスを料理して神々に供したために、地獄で永劫の罰を受けた。その罰は、池の中に埋められ顔だけ出されるが、水を飲もうとすると水が去ってしまうという渇きの罰や、たわわ身に持った果実を食べようとすると、枝が遠ざかってしまうという飢えの罰などとされる。  
ディオニューソス Dionysos 元来は宗教的な狂乱を伴う祭式を有するトラーキア・マケドニアの神だったらしいが、ギリシアに輸入されて輸入されて、女性の熱狂的な崇拝を受けた。神話中では、ゼウスとセメレーの息子とされる。ゼウスの本来の姿を目の当たりにして、雷で焼け死んだセメレーの腹から、6か月の胎児だったディオニューソスをゼウスは取り出し、自らの太ももに縫いこんで育てた。 系譜:Th
ディオーネー Dione ゼウスの女性形。ウーラノスとガイアの娘だが、異説もある。ゼウスと交わってアプロディーテーを生んだともされる。そのためにアプロディーテーはディオーナイア(Dionaia、ディオーネーの娘)と呼ばれることがある。 系譜:Ti
ティテュオス Tityos ゼウスとエラレーの息子。ガイアの子とも言われる。ヘーラーを恐れてゼウスは彼を地中に隠したが、巨大な身体へと育った彼を地中に出した。ヘーラーはティテュオスにレートーへの情欲をかき立てたので、ゼウスもしくはアポローンとアルテミスによって殺された。ティテュオスは冥界で二羽の禿鷹に永遠に肝臓を食われる刑に処されている。 系譜:Dei
テーベー Thebe エパポスの娘とする説もあるが、ナイル河神の娘で、エジプトのテーバイの名となったともされる。 系譜:Th
テミス Themis 「掟」の意味。ウーラノスとガイアの娘で、ゼウスの二番目の妻。 系譜:Ti
デーメーテール Demeter オリュンポス十二神の一人で、穀物および大地の生産物の女神。クロノスとレアーの娘。ゼウスと交わりペルセポネーを生んだ。ハーデースがペルセポネーに恋をして冥界へと連れ去ったとき、彼女は世界中を探しまわる。そのために、各地でデーメーテールにまつわる物語が多々残されたとされる。ローマではケレースと同一視される。  
トリートーン Triton ポセイドーンとアムピトリーテーの子。半身半魚でポセイドーンに従って海馬に乗り、ホラ貝を吹きならして海を鎮める姿で表わされる。  
ニオベー Niobe タンタロスの娘。テーバイのアムピーオーンの妻。レートーにはアポローンとアルテミスしか子供がいないが、自分にはたくさん(諸説ある)子供がいると言ったので、ニオベーの子供はアポローンとアルテミスによって射殺された。後にニオベーは石になったとされる。  
ハーデース Hades 冥府(死者の国、冥界)の王。プルートーン(Pluton、「富む者」)、エウブーレウス(Eubuleus、「善き忠告者」)などの別名でも呼ばれる。ローマではプルートーンをとって、彼をプルートー(Pluto)と呼び、またプルートーンの訳語であるディースと呼ぶ。もしくはローマではオルクスと呼ぶ場合もある。クロノスとレアーの子。ゼウスとともにティーターンと戦って勝利した。その後くじを引いて冥界の支配権を得る。デーメーテールの娘ペルセポネーに恋をして冥界へと連れ去り、妻とした。ミーノースとラダマンテュスとアイアコスの三人を裁判官として、冥界を支配する。死者の国はホメーロスでは極西のオーケアノスの流れの外側にあるとされるが、後には地下に存在すると考えられた。  
ハルモニアー Harmonia アレースとアプロディーテーの娘。サモトラケー島の伝説ではゼウスとエーレクトラーの娘。夫カドモスとの婚礼の際には、すべての神々が天界を去ってこの宴に加わり、二人に贈り物をした。そのなかでも名高いのは長衣(ペロプス)とネックレスだった。この贈り物が子孫の禍のもとになったという。調和、ハーモニーの女神である「ハルモニアー」とは別人だが、後代になって同一視される。 系譜:Th
プルートー Pluto ゼウスの妻。タンタロスを生んだ。  
プロートゲネイア Protogeneia 「最初に生まれた女」の意。デウカリオーンとピュラーの娘。ゼウスと交わりアエトリオスとオプースを生んだ。 系譜:De
ヘスティアー Hestia オリュンポス十二神の一人。炉の女神。語源的にローマのウェスタと同じで同一視される。クロノスとレアーの子。炉は家の中心であるために、ヘスティアーは家庭生活の女神として崇められた。また、都市ごとに都市の炉があり、そこでも祀られていた。  
ヘーパイストス Hephaistos オリュンポス十二神の一人。火と鍛冶の神。ローマのウルカーヌスと同一視される。ゼウスとヘーラーの子。もしくはヘーラーが一人で生んだともされる。彼の妻はアプロディーテー、またはカリス、もしくはアグライアーとされることもある。彼は生まれつき足が悪かったので、ヘーラーが彼を天上から投げ捨てた。海中に落ちた彼を、海の女神テティスとエウリュノメーが救い育てたとされる。  
ヘーベー Hebe 「青春」の意。ローマではユウェンタースと同一視される。ゼウスとヘーラーの娘。ヘーラクレースが神格化された後に、彼を夫とした。  
ヘーラー Hera オリュンポス十二神の一人。ゼウスの三番目の妻であり、正妻。最高の女神。ローマではユーノーと同一視。クロノスとレアーの子。結婚と子ども、女性の性生活の守護者。アルゴスのヘーライオン(Heraion)とサモス(Samos)島では主神の地位にある。激しい嫉妬の心に駆られる女神として、ゼウスの恋人や、その子供たちに対して敵対する。  
ヘーラクレース Herakles ギリシア神話中の最大の英雄。ゼウスとアルクメーネーの子。「ヘーラーの栄光」の意を持つが、嫉妬したヘーラーによって狂わされるなどの矛盾する事実があり、名前との関係には諸説ある。妻子は多数いる。メガラー、デーイアネイラ、アウトノエー、ヘーベーなど。彼をめぐる伝説は多様で、幼少から死ぬまで様々な物語がある。エウリピデースの『狂えるヘーラクレース』や、12功業(12の難業)などが有名。 系譜:Pe
ペラスゴス Pelasgos ゼウスとニオベーの子。アルカディアの王。ペラスゴイ人の祖。  
ペルセウス Perseus ゼウスとダナエーの子。ダナエーの父で、アルゴスの王アクリシオスは神託によって娘の子供に殺されるとされたので、彼女を青銅の部屋に閉じ込めた。しかしゼウスが黄金の雨に変身して部屋に入り込み、彼女と交わってペルセウスが生まれた。ダナエーは密かにペルセウスを育てたが、アクリシオスに見つかり母子は箱に入れて流され、セリーポス(Seriphos)島に着いた。ゴルゴーンの一人メドゥーサの首を取りに行く物語、およびその道中で起こる様々な物語が有名。妻はエティオピア王ケーペウスの娘アンドロメダー。 系譜:Pe
ペルセポネー Persephone ゼウスとデーメーテールの娘で、冥府の王ハーデースの妻であり、冥府の女王。ペルセパッサ(Persephassa)とも呼ばれていた。ローマではプロセルピナと呼ばれる。ハーデースは彼女に恋をして冥府へと連れ去った。母デーメーテールは失踪した娘を探して世界中を回る。その期間、大地は疲弊して食物が育たなかった。そのために、ゼウスの仲介によってペルセポネーは、一年の三分の一(もしくは半分)を冥界で過ごし、残りを地上で暮らすこととなった。  
ヘルメース Hermes オリュンポス十二神の一人。ゼウスとマイアの子。アルカディアのキュレーネー(Kyllene)山中で生まれた。ヘルメースは富と幸運の神として、商売、盗み、賭博、競技の保護者であり、智者として竪琴や笛、アルファベット、数、天文、音楽などの発明者とされる。また道と通行人、旅人の保護者でもあり、ヘルメースの像「ヘルマイ」(Hermai)が道路や戸口に立てられた。この像は上部が人間の形で、男根があり、下部は柱になっている。また冥界への案内人でもある。さらに、夢と眠りの神であもある。ゼウスの伝令者の役割も担っている。  
ヘレネー Helene ゼウスとレーダーの娘。ゼウスが白鳥の姿となってレーダーと交わったという。レーダーの夫はテュンダレオースであるために、ヘレネーは彼の娘としても扱われる。ヘレネーは絶世の美女であり、彼女と結婚しようとしてギリシア中の王や英雄が集まった。彼女はスパルタ王メネラーオスを夫に選んで結婚した。トロイアのパリスがヘレネーを奪ったことによって、トロイア戦争が起こった。  
ポセイドーン Poseidon ゼウスに次ぐオリュンポスの神。クロノスとレアーの子。兄弟とともに世界の支配権を父より奪い、くじで海の支配権を得た。ローマではネプトゥーヌスと同一視される。ポセイドーンは海のみならず、あらゆる泉の支配者でもあり、また地震の神、馬の神でもある。そのために、彼にはエノシクトーン(Enosichthon「大地を揺すぶるもの」)、ガイエーオコス(Gaieochos「大地の所有者」)、ヒッピオス(Hippios「馬の神」)、クレーヌーコス(Krenuchos「泉の所有者」)、ニュムパーゲーテー(Nymphagete「ニンフの指導者」)などの呼称がある。妻はアムピトリーテー。ポセイドーンは多くの女と交わったが、そこから生まれた子は、怪人か野蛮な人間か馬である。 系譜:Po
ホーライ Horai ゼウスとテミスの娘ホーラーたち。エウノミアー(Eunomia「秩序」)、ディケー(Dike「正義」)、エイレーネー(Eirene「平和」)の三人。彼女たちは四季と社会秩序の女神とみなされる。  
ポリュデウケース Polydeukes ゼウスが白鳥の姿に変身してレーダーと交わり生まれた子。レーダーがスパルタ王テュンダレオースの妻であったことから、彼の子としても扱われる。兄弟のカストールとともにディオスクーロイ(ゼウスの息子たち)と呼ばれる。ポリュデウケースは拳闘の技に秀でていた。ゼウスは両者をふたご座として天上に置いた。また、両者はスパルタで神として崇められている。  
マイア Maia アトラースの娘で、ゼウスと交わってヘルメースを生んだ。  
ミーノース Minos ゼウスとエウローペーの子。クレータ(クレタ島)の伝説的な古い時代の王。ラダマンテュスとサルペードーンの兄弟。兄弟はエウローペーを娶ったクレータの支配者アステリオーン(またはアステリオス)に育てられた。ミーノースは法を制定し、弟もまたラダマンテュスもまた名高い立法者で、両者は死後アイアコスとともに冥府の裁判官となった。彼はパーシパエー(一説にはクレエーテー)を娶った。 系譜:Th
ムネーモシュネー Mnemosyne 「記憶」の女神。ウーラノスとガイア、あるいはオーケアノスとテーテュースの娘。ゼウスは彼女と9日間交わって、9人の娘、ムーサたちを生んだ。 系譜:Ti
メーティス Metis 「思慮」の意。オーケアノスとテーテュースの娘。ゼウスの最初の妻で、彼女はクロノスが飲み込んだ子供たちを吐き出すようにレアーに薬を与えた。 系譜:Ti
モイラ Moira 運命の女神。「モイラ」は元来「割り当て」を意味する。複数形モイライであらわされることもあり、ローマ人はパルカイをモイライと同一視する。  
ラーオダメイア Laodameia ベレロポーンの娘。ホメーロスでは、ゼウスと交わってサルペードーンを生んだ。 系譜:Sis
ラケダイモーン Lakedaimon ゼウスとターユゲテーの息子。スパルタのあるラケダイモーン地方の住民にその名を与えた。スパルテーを娶りスパルタの王となった。 系譜:Po 
ラダマンテュス Rhadamanthys ゼウスとエウローペーの子。クレータ島の王アステリオーン(あるいはアステリオス)がエウローペーを娶ったあとで、この王にそだれられた。ラダマンテュスは正義の士として名高く、クレータの律法者となり、死後冥府の裁判官としてミーノース、アイアコスとともに亡者を裁いている。 系譜:Th
レアー Rhea レイアー(Rheia)とも呼ばれる。ウーラノスとガイアの娘。クロノスの妻となる(クロノスを参照)。ゼウスをひそかにクレータのイーデー山中で育てた。レアーは大地女神であり、ガイアとの区別がつきにくい。また、大地の女神であるキュベレーやアグディスティスなどと混同される。ローマでは、クロノスと同一視されるサートゥルヌスの妻オプスが、レアーと同一視される。 系譜:Ti
レーダー Leda アイトーリアの王テステュオスとエウリュテミスの娘。夫はテュンダレーオス。ゼウスが白鳥の姿となって彼女と交わった。ヘレネー、ポリュデウケース、カストール、クリュタイムネーストラーを、レーダーは卵で生んだという。最初の三人はゼウスの子、クリュタイムネーストラーはテュンダレーオスの子とされる。  
レートー Leto コイオスとポイベーの娘。ゼウスに愛されて、アポローンとアルテミスの母となった。ヘーラーに邪魔されたために、子どもはデーロス島で生んだ。 系譜:Ti
ロデー Rhode ポセイドーンとアムピトリーテーの娘。夫はヘーリオス。  

系譜:Ath=アタマースの系譜
系譜:De=デウカリオーンの系譜
系譜:Dei=デーイオーンとミニュアースの系譜
系譜:Kr=クレーテウス、テューロー、ポセイドーンの系譜
系譜:Ol=オリュンポス神族の系譜
系譜:Pe=ペルセウス、ヘーラクレースの系譜
系譜:Po=ポントスの系譜
系譜:Sis=シーシュポスの系譜
系譜:Th=テーバイ王家の系譜
系譜:Ti=ティーターン神族の系譜


関連事項

神名・人名・解説 神名・人名・解説


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このページの最終更新 2008/3/11
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