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ラテン語文法書

    ラテン語文法書

このページではギリシア語の文法書を紹介しています。
コメントは河島の独断でつけたものです。
思いついた順に記載していますので、網羅的なものではありません。
なるべく使いやすいもの中心に紹介しています。


文法書選び(ギリシア語・ラテン語共通)

はじめに
 河島が初等文法を習い始めたときに、「ものすごくがんばって勉強して、ラテン語を読めるようになるのに8年、ギリシア語を読めるようになるのに10年」と先生に言われました。何をもって「読めるようになる」のかは別にして、古典語習得には大変な時間と労力がかかることは間違いないです(だいぶ時間がたちましたが、私はいまでも読めているかどうか分かりません)。おそらく私の先生がこのように言ったのは、近代語とは異なる古典語独自の苦労が非常に多いからだと思います。しかし、はじめにこう言われておけば、それほどあせる必要はありません。まだ10年もあるからと思ってこつこつがんばりましょう。

初等文法の目標
 初等文法では主に名詞、形容詞、動詞等の活用を学ぶことになります。そのなかで、個々の活用の使われ方である文法を学んでいきます。したがって、初等文法書を終えたときの目標は以下のようになります。

・活用表を覚える
・基本的な文法の知識を得る
・原典を読んだときに、辞書をひくことができる

初等文法書選び
 初等文法書は和書にしても洋書にしても、完璧なものはありません。色々な文法書を手にとってみて、自分にあいそうなものをやってみるしかないでしょう。上記の参考資料は網羅的なものではありません。参考程度にしてください。いずれにしても、初等文法は足がかりで、実際に原典を読み始めて本格的に文法を学ぶことになるのです。とはいえ、文法書を選ぶときの目安として、以下を参考にしてください。

・できれば、洋書の初等文法書

《コメント》
辞書を引くにしても、中級以上の文法書を利用するにしても、欧米語の文法用語を知り、慣れる必要があるからです。また、欧米では高校生がラテン語初歩を学ぶことが多いので、文法の説明も安易です。とはいえ、洋書というだけでハードルが高くなってしまうし、好みもありますので選択肢の一つとお考えください。また、日本語の文法書でもはじめの方に文法用語の英語表記が書いてあることが多いです。

・活用表が見やすいほうが良い。

《コメント》
古典語は活用がとても多いので、何度も表を見ることになります。そのために活用表が見やすいだけでだいぶ時間と労力の削減になります。最終的には、河島は、コピーをとって切り貼りして、自分の活用表を作りました。自分の使い勝手の良いものが最初からあればそれに越したことはありません。

ラテン語の活用表については、こちらの「ラテン語文法」も参考にしてください。

・練習問題や用例が多いほうが良い。

《コメント》
実際にステップごとに学ぶ際に、各課に練習問題がついていることは重要です。文法の説明を読んだだけでは、結局使いこなせませんから。そのために、練習問題の量が多いほうが良いです。


ラテン語文法書

初等文法

· 河島思朗、『基本から学ぶラテン語』、ナツメ社、2016

   

· 逸身 喜一郎、『ラテン語のはなし—通読できるラテン語文法』、大修館書店、2000/12

《コメント》
サブタイトルにある通り、「通読できる」ラテン語文法書です。もちろん文法書としてもステップを踏んで学ぶことができる仕様になっていて有用ですが、読み物としても非常に良いです。あとがきによると、筆者の逸身氏は、初級文法書の前にこの本を読むことを望んでいます。細かく活用形や文法を覚えるのではなく、通読してラテン語の全体像を把握するのに適しているでしょう。

· 中山 恒夫、『標準ラテン文法』、白水社、1987/02

 《コメント》
練習問題の量が多く、和訳・ラテン語作文の両方がある。解答はなし。解説はやや淡白。文法書の後半部分にあたる難しい文法説明などが大変良くまとまっている。実際に原典を講読するときにも、文法書として使い勝手が良い。単語集が別冊でついてくる。

· 中山 恒夫、『ラテン語練習問題集』、白水社、1995/09

· 河底 尚吾、『ラテン語入門』、泰流社、1992/05

· 大西 英文、『はじめてのラテン語 (講談社現代新書)』、講談社、1997/04/18

《コメント》
これは新書版で通読できるタイプのものです。前半に名詞、後半に動詞という形で整理されています。独学のために使うにはあまり適していないかもしれませんが、全体像を把握するには良いと思います。

· 田中 利光、『ラテン語初歩 改訂版』、岩波書店、2002/03/20

 《コメント》
大学などで利用されることが多い文法書。和訳の他に、ラテン語作文の練習問題がついているところが良い。解答は付いていません。

· 山下 太郎、『しっかり学ぶ初級ラテン語 (Basic Language Learning Series)』、ベレ出版、2013/08/20

 《コメント》
独学でラテン語を学びた大人にオススメ。
 例文や練習問題の多くに実際のラテン文学の原典を採用していて、読んでいて楽しいです。各文法項目ごとに、独学で学ぶ人にとって分かりやすいような解説があり、読みながら文法を理解していく形式です。学習の仕方も書かれていて、親切。さらにFAQコーナーや問題へのヒントがあり、細かな疑問にも答えてくれる感じ。特に例文と解説が充実していて良いです。しかも、分からないところはウェブ上で答えてくれるとのこと!
 補足:全12章。語彙は単語帳のような形ではまとめられていませんが、各章ごとに問題のそばに載せられています。活用表のまとめはありませんので、各章ごとに暗記(or自分で作る)ことが期待されていると思います。練習問題の解答あり。

· Frederic M. Wheelock, 他. Wheelock's Latin, 6th Edition Revised. Collins Reference. 2005/05/31

《コメント》
河島はこのテキストで学びました。欧米でよく利用されるテキストです。英語は難しくありません。現在は第6版を手に入れることができます。内容は非常に良いです。

中級以上の文法書

· 泉井 久之助、『ラテン広文典』、白水社、2005/09/10

《コメント》2005年に復刊されました。

· 中山 恒夫、『古典ラテン語文典』、白水社、2007/08/28

《コメント》
「初級から上級までを一冊にまとめる」ことを意図して作られた文法書。例文が豊富で良いです。

· Basil L. Gildersleeve, 他. Gildersleeve's Latin Grammar. Bolchazy Carducci Pub. 1997/01

ペーパーバック版などいくつかの出版社から出版されています。

· E. Woodcock. New Latin Syntax (Latin language). Duckworth Publishing. 2009/07

いくつかの出版社から出版されています

《コメント》
GildersleveもWoodcockもよく使われる文法書です。非常に使いやすいというわけではないですが、有用です。コメンタリーなどでも参照の指示が出されるので、手元に置いておくと便利です。


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